NLP(Neuro-Linguistic Programming)は日本語に『神経言語プログラミング』と訳されるもので、人の心を扱う流派の1つです。
まずは世間一般の説明とは異なりますが、私たちの考える最もシンプルな説明をしてみます。
目次
1.NLPって何?
2.NLPの位置づけ
3.NLPは心理学と別物
NLPは『人の心をプログラムとして説明して、プログラムを扱うことで自由になれるようにする方法論』です。
「人はプログラムされている」というのが基本の考え方です。
経験によってプログラムが作られて、人はプログラムされた通りに行動していると考えます。
少しドライな印象があるかもしれませんが、もっと日常的な言い方をすれば、「経験したことを元に学習して、学習した内容を使いながら生きている」ということです。
どんなこともプログラムの結果なのですから、上手くいくのも、上手くいかないのも、全てはプログラムが決めている、といえます。
問題は人にあるのではなく、プログラムのほうにあると考えるわけです。
ところがプログラムは経験によって作られますから、そこには運の要素が大きいとも捉えられるのです。
どこに生まれ、誰と出会い、どんな人間関係を経験するかは選べません。
その人の生き方はプログラムによって決まっているのに、肝心のプログラムを作る経験のほうは本人に選べない…、なんとも不公平な話でしょう。
勉強が得意だったあの人は、幸運にもそういうプログラムを持っていたからだったかもしれません。
運動が嫌いになるプログラムが作られてしまったら、運動を避ける人生になるかもしれません。
行動しないプログラムが作られていたら、努力をすること自体が苦手になるかもしれません。
技術や考え方どころか、能力や才能、性格だって、NLPではプログラムと考えます。
全てが、たまたまの経験によって作られたプログラムに依存している、というのです。
残酷でしょうか?
それが運命だと受け止めるべきなのでしょうか?
いえ、NLPはそう考えません。
NLPではプログラムを変えることもできます。
どんなプログラムが原因で上手くいっていないのかを調べて、そのプログラムを変えるのです。
そうすれば、たまたまの経験に縛られなくて済みます。
過去の経験に自分の人生を決められる必要がなくなるのです。
どんな境遇を生きてきたかに関わらず、自分で自由に自分のプログラムを変えていける。
そのための方法を提供してくれるのがNLPなのです。
NLPへの理解を深めるために「NLPの位置づけ」を考えてみましょう。
「知らなかったものが分かる」のは、一言でいえば「分類」の作業です。
新しい物事の特徴を知って、それを基準に
を整理するのが「分類」です。
区別のつけ方が分かれば、かなり理解できたことになると言えます。
ということで、NLPを理解するためにはNLP単体について説明するよりも、似ているものと対比すると分かりやすいはずです。
NLPの位置づけを整理してみます。
NLPの対象は「人の心」です。
人の心を扱う流派の1つとして位置づけられます。
人の心を扱うものは沢山あります。
心理学や認知科学はもちろん、医学も、脳科学も、社会学も、哲学も、行動経済学もそうでしょう。
マネジメントやマーケティングなどのビジネス分野だって、成功法則やスピリチュアルだって、人の心に注目していると言えそうです。
こうした分野の違いは主に、
a. どこを特に重視するか?
b. どのように調べるか?
で区別できます。
「a. どこを重視するか」についていえば、
例えば医学における心の範囲は“精神病理”がメインでしょう。
行動経済学やマーケティングとなると“購買心理”に重点が置かれます。
一方で、心理学や脳科学は広範囲と言えそうです。
「b. どのように調べるか?」は、
❶“どこにある原因を”
❷“どんな手法を使って調査をするか?”
の2つの観点を含みます。
例えば脳科学は、
❶“脳の違いが原因になること”を調べるために
❷“画像診断や電極を使って脳の構造や機能”を調査します。
心理学であれば、
❶“人間に一般的な心の性質”を調べるために
❷“多くの被験者を対象に統計的なデータを取る”ことをします。
精神医学の範囲では、
❶“心についての困りごとの原因を身体の機能から”探して
❷“投薬など身体のレベルで不具合を治すための治療法”が研究されます。
このように考えるとNLPは、
a. 心についての広範囲を対象に ※
b. ❶“プログラムを原因”として
❷“コミュニケーションで”対応する
と言えます。
NLPが扱う人の心は、医学やビジネスなどのようには範囲が限定されません。(※法的な資格の問題で、精神医療の範囲には踏み込まない。有資格者がNLPも使う場合を除く)
むしろNLPの『対象範囲(a.)』は広く、心の困りごとも、ビジネスも扱うことができます。
実際にNLPを有名にしたテクニックの1つは、PTSDを改善する手法です。
その一方では、ビジネス分野に役立つテクニックも多く開発されています。
目標達成や、創造性の開発、人間関係改善のためのテクニックもあります。
そして何よりも特徴的なのは、「NLPでは人の心をプログラムとして理解する」ところです。
人がすることの全ての『原因(b.)』をプログラムに探すわけです。
医学なら身体の機能に、脳科学なら脳にその原因を探しますが、NLPではプログラムを考えるのです。
「人のすることの原因がプログラムにある」という発想は、心理学とは決定的に異なるところでもあります。
心理学でするのは「人の一般的な性質」や「多くの人に見られる行動や考え方のパターン」を見つけること。
それに対してNLPでは「行動や考え方のパターンを生み出すプログラム」を調べます。
典型的には社会心理学は、行動パターンを見つけますが、その原因までは踏み込みません。
心理療法で最もエビデンス(効果についての統計的なデータ)がある認知行動療法でも、悩みの原因を“認知”のパターン(=考え方)に想定しますが、その考えのパターンが生まれる原因までは踏み込まないのです。
それに対してNLPでは、行動パターンでも、考えのパターンでも、その原因となる“プログラム”について考えます。
そこを調査します。
プログラムを原因として調べる根底には、「原因になっているプログラムを変えれば、行動も考えも変えられる」という発想があります。
このように原因から対処しようとする点は、医学のほうに似ていると言えるでしょう。
ただし医学では、原因を身体の機能に探すため、さまざまな“検査や治療法”を用います。
それに対してNLPは、原因となるプログラムを調べて変えるための『手段(b.)』として、“コミュニケーション”を用いるわけです。
NLPには検査や測定、データ収集は含まれません。
より具体的にいえば、NLPでは主に「質問」を活用します。
本人が自分の心の内側を調べられるように、その調べ方のポイントを質問で問いかける形です。
自分一人でやるときにも自問自答することになります。
他の人が本人の内面を調べるガイドをするときにも、もちろん手順通りの質問を投げかけます。
ですから自分とコミュニケーションするか、他人とコミュニケーションするか、いずれにしても「質問」というコミュニケーションによってプログラムを調べる、ということです。
まとめると…。
NLPは心理学と同じくらい広範囲に、人のすることを調べるのは似ていますが、
一般的な性質ではなく、個人差を生むプログラムを調べるところが異なっています。
しかも心理学のように調査や検査やデータ収集は行うことはなく、コミュニケーションを通してプログラムを扱うところも異なります。
ということは、NLPは心理学と別物だという話になります。
それでいて心理学と同じような広範囲で心を対象としますから、NLPと心理学は「同じレベルの別分野」だと捉えるのが適切でしょう。
喩えるなら、同じ「球技」における「ドッヂボール」と「野球」のような関係性でしょうか。
心理学、脳科学、医学を「心を扱うジャンル」として区別するように、NLPもまた「心を扱うジャンルの1つ」だということです。
NLPの学び方 | 2024.12.30 |
---|
NLPの学び方 | 2024.12.29 |
---|
NLPの学び方 | 2024.12.28 |
---|
NLPとは | 2024.12.27 |
---|
NLPとは | 2024.12.26 |
---|